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人の老化は、高齢になるにしたがって、生体内のNAD+が減少し、NAD+により仲介される生体エネルギーが低下する結果として、NAD+により活性化されてきた長寿遺伝子といわれるサーチュイン遺伝子の活性が低下するため、サーチュインの役割であったDNAの損傷修復や損傷の結果生じる間違ったDNA情報の発動を抑制することができなくなるために、誤情報が累積する結果であることが最近になってわかってきました。
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「ニコチンアミドモノヌクレノチド」
書くにしても長すぎるし、言うにしても舌をかみそうです。という理由で、簡略化して、NMNと呼ばれるようになりました。おそらくほとんどの方、特に年配の方は「ニコチンアミドモノヌクレノチド?なにそれ?」と思われることでしょうが、中には、若かりし頃、生物の授業でニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチドという物質が出てきたおぼろげな記憶をお持ちのかたもいらっしゃるかもしれません。
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参考までに、解糖系とクエン酸回路(TCAサイクル)のまとめを記載しておきます。そこかしこにNAD+として「ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド」が顔を出しているのが見えますね。高校生の頃は、こんなに難しいことを習っていたのです。
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電子2つを繋いでNADHとなることにより、代謝過程からエネルギーを引き出しているわけです。
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昔ながらのお餅つきを思い浮かべてください。杵で餅をつく力持ちの人が主役だとしても、相方として餅をひっくり返す役の人がいなければ、お餅は完成しません。そのお餅をひっくり返す相方のようなかたちでNAD+はエネルギー代謝過程に参入していると考えていただくと、その重要性をお伝えできるでしょう。いわば「縁の下の力持ち」です。
まさに、老化を防ぐためにNAD+はなくてはならない存在というわけです。
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減少の理由は、老化にともない老化細胞が累積的に増加するためDNA損傷の修復などのため消費されるNAD+量が増大してくる一方、体内で合成することのできる量は低下するためではないかと考えられています。要するに、防戦一方、消費が増える分、生産が追いつかないというわけです。
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NAD+は、積極的に食事でとればよいではないかということになりますが、ここに大きな問題が横たわっています。NAD+はその大きな分子量のゆえにか細胞膜 透過性がなく、口から摂っても吸収されません。では、「どうする?」ということで
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地下鉄漫才というのがありましたが、NAD+が、体内に運び込めないならば口から摂っても体内に吸収される部品として運び込み中で組み立てたらよい、ということで、
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図のように、NR(ニコチンアミドリボシド)という物質もNMNの一つ前の段階でNAD+の前駆体ということになり、サプリメントとして比較的安価に販売されていますが、反応経路的にNMNの方がよりNAD+に近く、動物実験で有効性が実証されているのは現時点ではNMNのみです。NRの場合、服用直後に顔がほてって赤くなったりむずがゆくなるなどのフラッシング症状と呼ばれる副作用がしばしば生じることが知られており、 毎日安心して摂るには、副作用のないNMNの方が適しています。
以上のような事情を考慮して。NRとNMNでは、NMNに軍配があがります。
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サプリメントとして補給する以外に、食品から摂ったり運動をすることにより、NAD+の体内レベルを上げることはできますが、食品として摂ろうとすると、アボガドなどで毎日600個程の量でなければ老化予防に最低限必要とされている量の250mgを補うことはできません。 毎日これだけの量を食べるのは、現実的ではありませんね。
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ただし、必要な量のNAD+を増やすためにはかなりの量の運動が必要となり、高齢者にはハードルが高くなります。以上のような理由で、簡単に摂取できる物質として、NMNが、注目を浴びているのです。
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動物実験などで可能性が確認されているNMNの「効能」です。
●アルツハイマー型認知症の改善が期待される
●免疫機能向上
●機能回復
●インスリン分泌 ●糖尿病改善
●ミトコンドリア増加 ●エネルギー生産効率向上
●筋肉増強 ●インスリン感受性改善
●昨日が回復し、身体活動量や代謝が向上
監修紹介
橋本 惠
京都大学医学部卒業。
兵庫県立柏原病院内科医員。
大津赤十字病院循環器科医員。
京都大学大学院医学研究科修了。
国立循環器病センター内科循環器部門医員、厚生技官。
京都大学医学部助手。1994年 京都大学医学部講師。
京都大学大学病院医学研究科講師。
1995年6月より木津屋橋武田病院院長、現在 医療法人みつばち会理事長
日本心臓病学会特別会員、日本循環器学会認定循環器専門医、日本内科学会認定内科医、日本不整脈学会会員、診療情報管理士、日本診療情報管理学会会員ほか。
橋本 圭司
慶応義塾大学商学部卒業 同大学院健康マネジメント
研究科医療マネジメント専修修了
京都大学医学部社会健康医学系専攻健康情報学分野専門職課程修了
ITベンチャー企業、米国バイオベンチャー企業を経て、産業医事務所副所長を兼任。
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